家事屋のお仕事の最近のブログ記事
正しい家事代行会社の選び方 ~様々な会社達編~ ③ベアーズ 前回のエントリでも書きましたが、ベアーズは第二世代に属する、家事代行の専業では代表格です。 この会社の偉大な点は、「家事代行」という言葉を再定義したことです。家政婦でもなく、ハウスクリーニングでもない。時間単価3,000円程度で週に一回から使える、というスタイルを、クレアティと共に日本で定着させ、この定義に基づきPRを盛んに行いました。2006年以前で家事代行という言葉を新聞や雑誌などで知った、という方は、この会社のリリースである可能性が高いでしょう。現在個人で同様の仕事をしている女性の方で、昔ベアーズで働いていたという方もいるようで、そのような意味でも市場の拡大に大いに貢献している会社です。さらに、クマのキャラクターも、かなりキャラ立ちしています。 サービスの拡張の仕方も、見習うべきことが多く、もとは家事代行専業というイメージだったのですが、現在ではハウスクリーニングとベビーシッターの売上も伸びてきているようで、見事にクロスセルに成功されています。 ただ、同社に関しては、スタッフ数や顧客数などの数字をたまに見かけますが、これ積算値なんじゃないの?という数字が書いてあり、驚くことがあります。実際の数字なのかも知れませんが、たまに問い合わせを受けたお客様から、スタッフの数などを聞かれることがあり「へー、ベアーズとずいぶん違うんだね」と言われると、当社含めて、私が知っている業界の水準と乖離が激しいため説明に困ります。 しかしながら、全体としては見習うべき点が多く、是非がんばって追いつき、追い越したいなと考えています。
①ミニメイドサービス
家事代行専業会社のまさに老舗ともいえるミニメイド。業界でここをロールモデルにしていない会社は、最早モグリであるいっても過言ではありません。直営/FC両方やっているようですが、とくに直営の品質は非常に高いことは間違いありません。しかし、唯一のネックは値段の高さ・・・。一部のFCでは、やはり若干品質が落ちる場合もあるようですが、比較的こじんまりと商圏をせまくとって事業を営まれているFCオーナーさんが多いようで、あまりにもひどいサービスが自分の首を絞めることをしっかりと認識しているようです。
弊社のサービススタッフさんで、元ミニメイドにいましたというスタッフの方を採用したことがありますが、極めてまともな方が多く、いまだに活躍して頂いています。尚、彼らが前職を離れられた理由は引っ越しなど、やむを得ない事情によるものが殆どであり、後ろ向きな者はありません。
ちなみに、最近よく、「収納コーディネート検定持っています」と言って応募してくるスタッフさんがいらっしゃいますが、この「収納コーディネート検定」とは、こちらの会社が実質的に運営している団体であるところのNPO法人ハウスキーピング協会が実施している民間検定です。これの資格は所定の講座(座学講義)を受講することで得られるものなので、この資格を持っている=整理・収納のプロである、というわけではないようです。もともと、非常にセンスに左右される仕事でもありますが・・。
ところで、代表者の名前を見ていると、元弊社の従業員が独立して開業していたり、中には元顧客の名前があったりすることも。それ自体は有りがちなことなので問題ないのですが、HPの内容が一字一句同じだったりすると、さすがに良識を疑います。
そういう会社は、今は亡き銀座の某社のように、運営者や運営会社自体が非常に胡散臭いこともあるので、家事代行サービスのご利用を検討されている方は、一度運営者の名前で検索をしてみると面白いと思います。
家事代行のマエストロサービス
■市場
実は、香港は知る人ぞ知る家政婦大国です。香港で働くメイドの数は約24万で、人口が700万弱であることを考えると非常に多いと言えます(人口の3.4%)。国土が狭く、人口の少ない香港では、早くから女性の労働力を有効活用する政策が取られており、ネックである育児と家事労働の負担を軽減するため、積極的に労働者を海外から招聘してきた、という事情があります。このことから、海外のメイドを雇用する際のガイドライン(最低賃金、住居スペースの確保、帰国時の航空券の支給など)も行政によって規定されており、労働者に働きやすい環境を提供していると言えます。
http://www.hongkong.alloexpat.com/hongkong_information/maids_in_hongkong.php
ちなみに、日本にもほぼ同じようなガイドラインがあるのですが、「日本人は、外国人の家政婦を招へい出来ない」という、実にありえない規定があります。国内労働者を保護するということでしょうが、その辺はぜひ市場原理に任せてほしいものです。
24万人が最低月給5.5万をもらっているとすると、約132億円/月となり、年換算だと1584億円となります。大雑把に見積もってこれくらい香港での市場規模でしょうか。
■顧客と労働者
前述のように、香港では中流以上の市民は何かしらの形(住み込み、またはパート)でほとんど家政婦を雇います。家政婦集団の中で最大数を占めるのがフィリピン人で約15万人、次いでインドネシア人7万、マレーシア、タイと続きます。意外なことに中国本土の人はそれほど多くありません。フィリピンは国策としてメイドを近隣諸国に輸出している程(※)で、英語が話せて、高等教育を受けた人が多く、また宗教的にもキリスト教であるため、欧米人には最も人気があります。ちなみに弊社にも10人程のフィリピン人がいますが、多くは真面目で同じ年齢の日本人と比べても非常によく働きます(時間の感覚などにズレは感じますが)。労働者の年代構成をみると、20代前半~40代前半と日本に比べるとかなり若い人が多くなっていますが、これは高齢になるにつれあまり雇い手がいなくなり、職につけず本国に帰ってしまうためです。
※フィリピンには「海外雇用庁」という、その名の通り海外での雇用を促進するための行政機関が存在します。
香港での顧客(雇用者)の大半は日本と同じく共働きの夫婦と、外国人駐在員達です。日本やアメリカではフルタイムの住み込み家政婦というのは少なくなっていますが、香港では住み込みで雇った場合でも賃金は4000HKD(5-6万円)程度とかなり安いため、月~土フルタイムで雇用する人が圧倒的に多く、また中流以上の家庭では利用するのがあたりまえ、という感覚です。
■サービス形態と価格・品質
サービスの内容は、掃除・洗濯・料理に加えて、ベビーシッター、運転手、から高齢者の介助的なことまであらゆることをします。
メイドの中には教師の資格を持っていたり、音楽が得意であったりするものも多いので、子供の面倒を見る際には、教材を与えて初期教育を行ったり、ついでにピアノを習わせたりと、もはや家政婦の領域を超えて付加価値を提供する者もおり、当然値段は高くなるとは言え、日本で幼児教育の塾や英会話スクール、音楽教室に通わせることを考えると断然格安で、まさに母親の楽園といえます。
事業者の運営形態が、派遣/請負契約ではなく、斡旋紹介となるため、労働者に対する教育は香港国内ではほとんど行われません。結果として、家政婦のスキル・作業品質には日本のそれ以上にバラツキが出てしまいます。フィリピンの場合、国内のメイド養成機関のようなところで一応訓練は受けるのですが、それほど厳しいものではないため、どうしても個人の資質に左右されることになります。私も日本にいるフィリピン人メイドを数十人使用してみましたが、はたして国民性なのか、概して細かい部分に気が回らない人が多いと感じます。(床に髪の毛が残っている、食器の拭き後が取れていない、鏡に拭き後がある etc..)
■事業者
香港でも我々のようなagencyが存在します。大きく異なる点は、事業者と顧客が定期的な請負契約を結ぶのではなく、顧客は手数料を支払い、事業者は最初だけ斡旋をする、という点です。ざっと調べた感じだと斡旋の手数料は2500-3500HKD(3-4万円)が相場です。この手数料にはメイドを国内で探す/フィリピンなどの海外から探して紹介する経費の他、ビザの申請代行や契約書の作成手数料が含まれます。この他に、成約時に受ける健康診断や保険などで+数千円が必要となります。
【Maid Agencyの例】
World Champ International Employment Agency
Aura Employment Agency
Amahnet
残念ながらここの売上や利益のデータは見つかりませんでした。あしからず。
このように、外国人の労働力を活用するという点で、すでに発展している香港ですが、国家財政の危機から、こうした低収入の外国人労働者に対しても課税を強化していく動きなどが出て来ています。
これは利用者にとってのコスト増につながるため、利用者数は若干減ることが予想されています。ただ香港全体としては順調な人口増加が見込まれているので(2050年までに940万人予測)domestic serviceの市場規模はゆるやかに増加すると思われます。
前述のように、日本ではVISAの問題から外国人のメイドを雇うのは非常に難しい現実があります。
昨年後半からの不況で、現在各社とも家事代行スタッフの労働力には余力がありますが、これはあくまでも一時的な状況であると思います。若年人口の減少から、将来的に労働力が足りなくなることは間違いないので、そろそろ国も本腰を入れてこの辺のいしゅーに取り組んでほしいものでございます。
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香港とは関係ありませんが、中国の家政婦をリサーチしていたところいくつか笑える記事を見つけました。気晴らしに参照されたし。
ITmedia +D PC USER:リアルなメイドさんを中国で雇ってみた
ありえない家政婦
もう4年も前になりますが、私がこのサービスを始めるにあたって、まず調べたのが海外の事例でした。この中で印象的だったのが、①アメリカ、②香港、③ドイツ(ほかヨーロッパ)です。
今回から3回に渡って簡単にリポートしていきます。
初回はアメリカです。
アメリカでの家事サービス(Housekeeping/Maid service)は、ざっとWebを調べただけで100を超える業者が見つかるほど盛況で、maid serviceという言葉も一般的な用語として認知されています。
アメリカは80年代前半から女性の社会進出が進み、現在では女性管理職の割合が30%にも上ります(2007年 厚生労働省調査 ちなみに日本は6.9%と約1/4)が、この女性の社会進出を支える生活支援サービス一つとして、メイドサービスは発展してきました。
■市場
Freedonia Groupが発行する調査資料によると、家事サービスは家庭向け清掃サービス需要の内40%を占め(2006年)、年率7.2%で成長を続けている市場であり、その市場規模は何と$6Billion(6000億円)にも上るとのこと!ただ、大手の事業者のサービス内訳をみると、いわゆるハウスクリーニングも入っているようなので、これらの総計と見るのが正しいと思われます。
■顧客と労働者
rising number of dual income families who do not have the time or inclination to perform basic household chores..とあるように日本と同様にアメリカでも主要な顧客は時間のない夫婦共働きのようです。また、参入業者(FC含む)が増加するにつれ、価格が下がり、そのことがより多くの顧客を生む結果になっている、というのも同じ状況であるといえます。
アメリカは21世紀になっても人口が増え続ける唯一の先進国ですが、その増加を担う移民層が当業界の主要労働力となっています。Webで見る限りでは北部ではアジア系が、南部ではメキシコ系が多いようです。個人的には出身国によって、だいぶ性格というか繊細さが違うと思うのですが、同じトレーニングで大丈夫なんでしょうか...。
■サービス形態と価格・品質
日本では、集合住宅に住む人が主要顧客であるため、スタッフ一人が作業を担当することが多いのに対して、アメリカでは戸建て住宅が多く、2~3人組みで車に乗ってサービスを行うのが一般的です。事業者によってはかなり専門的な機材を持ち込む場合もあるようで、ほとんどハウスクリーニングの定期サービスと言えそうです。価格はスタッフ一人当たり35-60$/hourというのが相場のようで、日本と大きくは変わりません。前述のように機材を持ち込むのであれば、割安といえるかもしれません。サービスの品質は不明です。ネットの口コミを見るとどのFCに関しても文句ばっかりですが、利用者数自体は増加しているところを見ると、満足しているユーザーの方が多いはずです。
■事業者
アメリカのメイドサービスは、個人契約を除いてほとんどが派遣形態であり、家政婦紹介のような斡旋形態はあまりみられません。口コミを見ると不穏な書き込みも多く、悲しいことに盗難を警戒しての結果のようです。さて、FC大国のアメリカならではですが、年間の売上が$100million(100億円)を超えるFCがゴロゴロしています。代表的なところでは下記のようなものが有名です。
JAN-PRO(NFC:700 , EAS:$175mil)
MAID TO PERFECTION(NFC:305 , EAS:$75mil)
MAIDS INTERNATIONAL(NFC:935 , EAS:$100mil)
MERRY MAIDS(NFC:1256 , EAS:$47mil)
日本で最大手がダスキン&メリーメイドの60億前後で、2番手ははるかに小さくなってしまうことを考えると、非常に大規模であるといえますね。
というわけで、次回は香港を取り上げてみます。
すっかり間があいてしまいましたが、また少しずつ更新していきます。
さて、久々の更新ということで業界の概況を少々。
世の中不況の嵐が吹き荒れております。
家事代行の業界はというと、私の知っている限りでもほとんどの会社で大なり小なり影響を受けていまして、特に
・上客であった金融筋の方々が大打撃(特に外国人expertの方々)
・上客であった不動産筋の方々が大打撃
・上客であった自動車関連の方々が大打撃
というわけで、まさにトリプルパンチ!
これが去年から今年2月頃までの状況でした。
3月に入って若干持ち直しましたが、去年の今頃に比べると各社とも問い合せはだいぶ減ったのではないでしょうか。
そんな状況を裏付けるかのように、去年の夏頃から一部の会社から超格安プランが登場してきました。中には1,650円/時間(ただし3時間以上)というものまで登場し、もはや完全にレッドオーシャンの様相を呈していますが、本当に値下げに見合った効果があったかは疑問です。というのも弊社も負けじと格安キャンペーンというものを3月限定で実施したのですが、どういうわけか問い合わせはベーシックばかり。サービスの特性上「安かろう悪かろう」が積極的に理解されていると捉えていますが、果たして真実やいかに。
サービスの内容については、大きなイノベーションは見られません。見せ方、露出量に多少の差はあれども、どこも似たり寄ったりです。検索エンジンを主軸としたWebでの販促がすっかり定着した一方で、各社特徴を出しかねています。新規参入業者のHPを見ても、既存業者のそれとほとんど変わりありません。
こうした中で、今年後半はサービス単体のレベル向上以上に、便利な利用の仕方について、より具体的な見せ方が重要になってきます。どれだけ深く、細かく、お客様の「困ってる」ストーリーを考えていけるかが勝負の分かれ道になるはず。
もう一度コンセプトを見直す時期が来たということだと思います。
これって結構と時間のかかる作業なんですが、スタッフ集めてやりなおさないとなー。
家事代行のマエストロサービス
当然といえば当然ですが、家事屋の会社には、「掃除(洗濯)が好きです」というスタッフが結構います。
「なんで掃除が好きなんですか?」と聞いてみたところ、あるスタッフが答えました。
「すごく手軽に達成感を味わえるから。」
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掃除や洗濯といった家事の類は、かけた時間に対する効果がとても明確です。
1時間ランニングをしても、自分が痩せたかどうかは分りません。同様に、1時間英語の勉強をしたからといって、自分がどの程度英語が上達したかもなかなか分かりにくいものです。しかし、1時間掃除をすると1時間分だけ部屋がキレイになります。これはペースの違いはあれ、とてもわかりやすい成果です。
費用対効果という概念は、投資に対するリターンの割合を示すものなので、やや意味合いは異なりますが、それでも短い時間で気分的にスッキリできる、という意味ではコスパの高い行動であるといえます。
しかし、結局は単純労働なので、掃除のコツのようなものがつかめてきて、同じ時間当たりに出来る作業量は増えることはあっても、「かけた時間×自分の腕」分しかきれいになることはありません。人間の運動能力には限界があるため、どれだけ効率的に掃除や洗濯を行ったところで、2倍の速さで掃除をすることは出来ないのです。今流行りのレバレッジが利かないのです。
※旦那さんに命令してレバレッジを利かせるという裏ワザはあります。
というわけで、
何が言いたいかというと、
あまり無茶な作業量を要求されても対応出来ません!
ということでした・・・。
ご理解のほどよろしくお願いいたします。