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2009年10月01日更新 株式会社キャリア・マム 代表取締役 堤香苗様
人を家に入れることに対する抵抗
堤実は私は、昔は家事代行のサービスを使っていたんですけど、現在は使っていないんですね。それは私の旦那と息子が、家に人を入れることに対して、猛反発するからなんですね。そんなわけで、男連中の抵抗にあって、現在は使えていないんです。こういう文化的なものって、まだまだありますよね。
長瀬これは面白い話なんですが、サービスを使う前は、実は女性の方が抵抗があることが多いんですよ。まあ、トイレやら洋服やら全部見られるわけですから当然なんですけどね。ところが、サービスを使い始めると、もうそんなことは忘れて色々なご依頼をされてくるんですよね。で、男性の方が、やっぱり鍵を預けるのは不安だとか、そういうことを言い出したりする。民族的というか、文化的な問題もあると思うんですが、慣れの問題だと思うので、徐々に抵抗は薄れていくと思うんですよね。周りの誰々さんが使っているとか、そういう話を聞いたりして。
堤そうですよね、だから、合理的に考えると「え!?まだ使っていないの!?」というような雰囲気、使っているのが当たり前という文化にしていくことが出来ればいいですよね。そのためには、最初の使うハードルを下げられるといいですよね。パナソニックのナノケア< http://panasonic.jp/beauty/style/face/care01.html#eh_sa40>という製品があって、寝ている間にそれを使っておくと、ナノミストが出てきて、朝起きるとしっとりしているという製品で9800円ぐらいなのですが、その需要が何で動いているかというと、母の日とか敬老の日とかに贈り物として動いているらしいんですね。そういう感じで、使いやすいフックがあるとよいですよね。
長瀬そうですね、我々もサービスの商品として、ファーストエントリーのための商品というか、使いやすさというのはもっと考えなければならないと思います。家の中で一番気になっているところだけピンポイントで集中お試しとか、そういうのもありかもしれません。
Before & After
堤もう一つ、これは良くメーカーさんとかにも言うんですけど、ビフォーアフターというのがあって、例えば掃除をするというと、掃除のビフォーアフターしか出さないんですよ。でもそれって、すごくピンポイントで、モノ消費の時代の名残なんですよね。コト消費でいうと、ビフォーは掃除をする前は汚れていました、じゃあ汚れていたからどうだったのか?アフターはきれいになった、じゃあきれいになったらどうだったのか?というところなんです。例えば、きれいになったから、キッチンに長く立っていても苦痛ではなくなったので久々にビーフストロガノフでも作るか、ということになったとか、長い時間調理を出来るようになったとか、そういうところが割とどこも見せ方として出していないんですよ。たとえば車を買うという時に、男性というのはスペックを気にするんですよ。排気量だとか、トルクだとか。でも女性というのはそうではなくて、例えばこの車に乗ると一ヶ月家から駅まで子供の送り迎えが出来て、さらに1回小渕沢まで行って帰ってきてもまだ給油しなくて済みますよ、というような自分の生活シーンと重ね合わせて見せてあげないと、響かないんですよ。だから、同じように掃除に関してもスペックじゃない見せ方をしないといけないんです。
堤見せ方という点では、やはり使い方のバリエーションを増やして、アプローチしやすくしてあげるというのも有効ですね。例えば、親世代から忙しそうな自分の娘へのプレゼントというのはあまりないと思うんですけど、子供から母親へのプレゼントというのはよいですよね。本当は姑にギフトとして使ってもらえるといいんですよね、姑にプレゼントして使ってもらって、家事の代行というサービスが良いものであると理解しておいてもらえば、旦那が抵抗した時に、姑からバックアップをもらえるじゃないですか(笑)
長瀬ガイアツですね(笑)。これは苦い経験なのですが、いわゆるお試しという使い方は、難しい面もありまして、ある程度本当に使う気がある人に対して考えてプロモーションをしないと、全く効果なく終わってしまう可能性があるんですよね。以前、とにかく認知度を高めようと考え、働く女性が良く見るcafeglobe.comというサイトで1回お試し無料のキャンペーンをうったことがあるんですね。30ぐらいの枠に対して、300を超える応募がありまして、あっという間に売り切れになったんです。じゃあ、2~3割ぐらいはリピートしてくれるかなと思ったら、何と1件も続かなかったんです。これは、ややターゲットというか属性を間違えたなというのはあるのですが、それ以上に、先ほどおっしゃられたような、姑へのガイアツとして使うというような流れを考えて提供しないとだめなんだなと思いました。まあ、無料というのは良くないですね。
隠れたニーズを引っ張り出す
うち(キャリア・マム)は、定量よりも定性調査に強みがありまして、言葉って実は氷山の一角で、どの方も本当に言いたいことは、恥ずかしくって言えないものなんですよ。それは、先ほどの例で言えば、台所はきれいであるのが当たり前で、料理の後はすぐに片付けて洗い物をしないと、汚れはつくわ、虫は増えるわで、酷い状態になってしまうんですけど、そんなことを出来ないっていうのを自分から白状するのはいやだから、相手から言ってくれたら、それに合わせる形で同意出来るんですよね。そのような会社からみると見えにくいニーズって、意外と掃除だけじゃなくって他にもあるかも知れなくって、たとえばお洗濯だとか、アイロンだとかって、言われてみないと気づかなかったりするかもしれないんですよね。思い込みって結構怖いものなので、いわれてみて初めて気付くことって多いですから。ですから、そういう隠れたニーズを引っ張り出してあげる、そして、それ(そのニーズ)っていうのは、オーダーしても全然おかしいものじゃないんだ、自分の言っていることは恥ずかしくないんだっていうことを気づかせてあげることが出来ると、とても良いと思います。
渋谷エクセル東急ホテル カフェラウンジにて
インタビュー マエストロサービス代表取締役 長瀬 俊二郎
写真 田所 好子