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マエストロインタビュー

今回のお客様

2009年10月01日更新 株式会社キャリア・マム 代表取締役 堤香苗様

株式会社マエストロサービス 長瀬俊二郎

FC展開について

長瀬私は、以前はフランチャイズ展開という物に懐疑的だったのですが、色々と考えた末に、最近ではFCでの展開がお客様にとっても一番良い形ではないかと考えています。堤様はこれまでのご経験から、FC展開をされている会社様ともお付き合いをされてきたことと思いますが、こういったサービス業がFC展開をすることに関して、何かしらアドバイスが頂ければと思います。

以前、ヒロタのシューアイスで有名なヒロタの再建をされた、21LADYの広野さんとテレビの番組でご一緒したことがあるんですが、FCが成功する秘訣というお話になった時に非常に印象的な話をされていました。それは、「FCはノウハウと看板を売る仕事なのだから、(FC加盟希望者は)どんなに自分がビジネスセンスに優れていると思っていても、最低2年間はフランチャイザーのノウハウに従わなくてはならない」ということです。実は私は比較的FCには懐疑的でして、というもの結局FCビジネスというのは、フランチャイザーが儲かるように出来ているものだと思っているからなんですね。FCは集める方も集まる方も「すぐに儲かる!」みたいな雰囲気が露骨に見られたりしているんじゃないかなと。でも結局お金が儲かるというところを創業の礎にしてしまうと、そのサービスが衰退した時に、じゃああなたは会社をつぶすんですか、という話になると思うんですよね。お金が儲かるというのは一面的な話であって、社会に対して何を残したいかを考えなくてはいけないなと。それで、ずっとFCに対しては懐疑的な気持で来たんですけど、広野さんが明確におっしゃっていたのが「FCというのはノウハウを売ることが仕事で、買い手はノウハウを使うことで成長を加速させることができるものなんだ」ということでした。だから、こうした点を共有できるオーナーさんと、FCを組まれるべきなんだなと強く感じました。

(株)キャリア・マム 代表取締役 堤香苗様

物売りのFCとサービスのFC

モノを売ることというのは、一瞬で終わること、つまり顧客との接点が「点」であるということなんですね。売れてしまった後の事は、製造元や売り手は関係ないじゃないですか。例えば、誰かが仮面ライダースナックを作って、ある消費者がそれを買った時に、その消費者が中のシールだけとっておいて、スナックを捨てたとしても、作った人は何も言えないじゃないですか。でも、商品がモノからコトに動いているとすると、例えばパッケージツアーに申し込んだっていうことは、ツアーを買うという点の行為に価値があるのではなくて、そのツアーの中で、どんな思い出だとか、楽しい時間だとか、ラグジュアリーなひと時を過ごせたかという一連の経験に価値があるのですよね。ですから、物売りであってさえ、コトを売るという発想が必要であると。そういう流れの中でFCを続けていくためには、ものすごく高いモチベーションと教育と、リピーティングプログラムのようなものがないといけません。一番怖いのはFCによって差が出てきてしまうということなんです。同じ看板なのにサービスの内容が全然違う、これは恐ろしいことです。一度ひどいサービスを受けると、系列店にも二度と行きたくなくなるんです。コト商品とかサービス商品のFCというのは、これを何よりも気にしなければならないでしょうね。いわゆるスーパーバイザーのようなものを強化して、一般的に考えられるFCというよりも、厳しく管理していかないと、ブランドコントロールが出来なくなってしまいます。

長瀬ダスキンさんはまさにそれで混乱をした経緯がありますよね。ダスキンさんはもともとマットやモップのレンタルをメインにしていて、それから清掃事業の方を展開されたと思うのですが、モップレンタルの時の管理の仕組みを、そのままクリンネスサービスにあてはめようとしたから、だいぶFCによって清掃サービスの品質にバラツキが出てきてしまって、一部でだいぶ評判を落としたことがあったそうです。FCの管理に関しては、各フランチャイジーは独立した事業体ですから、最初の、加盟の時点で厳しめにルールを作っておかないと、後でルールが厳しくなっても反発を受けてしまいますよね。ルールも重要ですが、本質的にはルールで縛ってもついてこないですよね、根本的な考え方が合っていて、フランチャイザーのやり方が、その考え方を達成するのによい方法であるというのが共有されていないと、うまくいかないのだろうと考えています。

キャリアマムという会社は実は、全国のSOHOの事業者とは雇用関係にはないんですね、ですから、私たちはキャリアマムのフィロソフィーというか、働くモチベーションから共有していくわけです。「働くというのは、こういうものだよ」と教えるところから始めるわけですね。すごく当り前のことですけど、時間どおりに納品しないと、それは仕事とは言わないのだよ、ということだとか、家族に何かあっても、仕事を投げてはいけないんだよ、とか、そこから教育をしていかないと、主婦というのは仕事よりも家庭や家族を大事にしてしまったりするので、仕事を任せられないんですよね。面白い話があるのですが、私が会社を始めた当時は、100名ぐらいのプロジェクトを動かしていると、だいたい15人から20人ぐらいが軽い怪我をするんですよね、指先とか首が痛いとか(笑)、そして10人弱ぐらいが伯父さんとかの遠縁の人が危篤になって、2人から3人ぐらいがおじいさんとかの近い親類にトラブルがおきると。それで、思ったのは、まあ1割ぐらいはバッファを見ておかないといけないんだなと(笑)。

今日よりも素敵な明日を作りたい

私は、今日よりも素敵な明日を作ろうと、そう思って日々生きているわけなんですけど、当然皆が同じように考えて生きていると思ったら、実はそうではないと。今日よりも明日が良いといいな、と思って何もしない人が大半で、今日よりも明日が良くなるために、何かを始めようと思う人が2,3割、そして本当に始めることが出来る人は、私は1-2%ぐらいだろうと思っています。そしてそれが続けていける人は1000人に一人なんだろうと。そういう人たちもいる中でFCっていうのを続けていくのは、難しいですよね。オーナーの入れ替わりがあまりにも激しいと、サービスの継承っていうのはなされませんからね。不動産のような大家さんビジネスっていうのは、それでもいいと思うんですけどね。

長瀬先ほどの割合というのは、男性女性に関わらず年齢の上昇とともに現状維持傾向が高まっていくものかなという気がします。やはり若い人の方が、明日を良くしようという気は強いですよね、ただ、私たちが対象とするFCの候補の方々というのは、年齢もある程度高いことが想定されますので、そういうエネルギーが継続出来る人の数は多くはないでしょう。でも、その中で、難しいかもしれませんが、贅沢をいえば1000人に1人を見つけて、一緒にやっていきたいですね。

リーダーシップのスタイルが変わった

私は、自分のリーダーシップのスタイルが変化したきっかけがありまして、私が一番弟子を名乗っている辛淑玉(シン・スゴ)さんという方がいらっしゃるんですけど、会社を始める前に「自分には人がついてこないんですよー」というような話をしたことがあるんですね、そうしたら「あたりまえじゃないか、お前みたいないつも全力疾走のマラソン選手みたいなのに先頭を走られても、周りはついていけるわけないじゃないか。お前みたいのは、一番最後にまわって、牛追いみたいな感じで「一緒に走ろう」って言って走ってみなよ。」と。あと、当時の私は失敗をすごく恐れていたんですけど、「失敗したらやり直せばいいじゃないか」と言われて、それをやり始めたら、周りがついてきてくれるようになったんですよね。私、それまでは女に好かれない女だったんですけどね(笑)、それが、スタイルが変わって後ろからサポートするような形でやり始めたら、知らないうちに良くなったんですよね。結局、皆がみんな、「今日より明日を良くしようとしている」わけじゃないことが分かったんだけど、同時にそれでもいいんだと、自分一人だけ馬鹿なことを言い続けていればいいんだと分かったんですね。それで、自分は他のすごい社長さん方に比べるとB級かもしれないけど、自分の取り柄は一個だけ、「諦めない」ということ。自分を諦めない、みんなを諦めない。自分は何もできないけど、自分に出来ることはみんなを信じることだと、そう言い続けてきたことで、皆がそれを分かってきてくれて、ようやく最近会社の中間管理のあたりがすごくうまく回るようになって、楽になったな、という状態ですね。

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