家事代行のマエストロサービス > マエストロインタビュー > 株式会社亀岡大郎取材班 代表取締役 亀岡太郎様

マエストロインタビュー

今回のお客様

2009年11月01日更新 株式会社亀岡大郎取材班 代表取締役 亀岡太郎様

株式会社亀岡大郎取材班 代表取締役 亀岡太郎様

大正15年生まれ、近畿大学中退。新大阪新聞経済部長を経て、経済評論家となる。その情報収集力と分析には定評がある。亀岡太郎取材班を主宰し文芸春秋、週刊文春、週刊現代、サンデー毎日、週刊読売など一流週刊誌に経済問題を中心に精力的な活動を続けてきた。自著に「ゲリラ商法」(KKベストセラー)、「サラリーマン恐怖時代」(文藝春秋)、「IBMの人事管理」などがある。

高齢者などに料理代行サービスを提供
食材など細かい要望に対応 ~富裕層をメインターゲットに展開~

好みに応じて調理

今回は高齢者や共働き夫婦宅を対象に清掃などの家事代行サービスを展開するマエストロサービス(東京都渋谷区)の長瀬俊二郎社長がゲスト。

昨年からは高齢者向け料理代行サービスも開始。今は富裕層がメインターゲットだが、高齢者賃貸住宅などとの一括契約で低価格でのサービス提供を行うことも検討している。

亀岡太郎取材班 代表取締役 亀岡太郎様 株式会社マエストロサービス 長瀬俊二郎

亀岡家事代行サービスを手がけているそうですね。

長瀬5年前に創業しました。高齢者や、共働きではなかなか家事に時間を割くことができない夫婦などを主な対象に清掃や洗濯などのサービスを提供しています。東京、神奈川、千葉、埼玉でおよそ1000件の実績があります。

亀岡高齢者向けの料理代行も行っているとか。

長瀬昨年11月にスタートしました。家事代行の利用者から「親が入院先から戻ってきたのだけれども、食事は何を食べさせたらいいのかわからないので、専門家に作ってもらうことはできないだろうか」と相談を受けたことがきっかけです。

亀岡高齢者にとって料理代行サービスは有難いですね。私も平日は都内のマンションでひとりぐらしで、食事は外食です。しかし、どんなに有名店・高級店でも毎日外食をしていたのでは飽きがきます。また、外に食べに行くのには体力的にも大変、という高齢者は多いと思います。

長瀬そうですね。だからと言って自炊をしようにも、高齢者の中には、買い物に行くのも大変だし、重たい調理器具を使うのも骨が折れる、という人もいます。これまで、こうした高齢者に対しては事業者が外で調理したものを届ける配食サービスを提供することが多かったと思います。

亀岡しかし、その場合にはメニュー選択の余地が少ない、味付けが自分の口に合わないなどで、必ずしも利用者にとって満足のいくものではないこともあると思います。

長瀬それに対し、当社のサービスは、利用者の好みを聞いて、食材を購入することから始めますので本当に利用者の好みや体調に合った食事を提供できる、という点が売りになります。

亀岡特に高齢者になればなるほど、昔の味をなつかしがるなど、食事に対する好みがうるさくなりますからそうした細かいニーズに応じられる体制づくりは重要になりますね。

長瀬当社では「食材はどこの店で買ってきて欲しい」といった要望にも応じます。また、可能であれば利用者と同じ出身地のスタッフを派遣し、地元の味付けを再現するようにもしています。さらに、高齢者の中には、「固いものは食べられない」というケースもありますが、スタッフの多くは医療機関や介護施設での調理経験がありますので、そうした高齢者特有のニーズにも応じることができます。加えて、基本的に同じスタッフが担当しますので、同じ味の食事を継続して楽しんでもらうことができます。

亀岡ちなみに、一食あたり、どれくらいの価格になるのですか。

長瀬1回6000円程度です。多少高いかな、とは思いますが1人のスタッフが買い物をし、料理をし、後片付けもするとなると2時間、3時間の拘束になりますので、どうしてもこのぐらいにはなってしまいます。結果的に富裕層向けのサービスとなっています。

亀岡もう少し価格を低くすれば、もっと広がりが見られると思うのですが。

長瀬食材の購入や調理にかかる手間は1人分の食事でも2人分の食事でも変わらないので、数をまとめればだいぶ安くなります。先程の6000円というのも1回の価格なので、3人分の調理であれば1人2000円になります。これでしたら外食に行くのとほとんど変わらないですから、だいぶ利用しやすくなると思います。

高専賃などとの一括契約が重要に

亀岡高齢者専用賃貸住宅の運営者などと組んで、マンション全体を一括で請け負う、などといった形をとれば、料金面ではだいぶ安くなるのではないですか。

長瀬現在は、富裕な方向けのサービスなので、森ビルや森トラスト、三井不動産などが手がけるような特定の高級マンションに利用者が集中する傾向にあります。
その場合は1人のスタッフが2件、3件の現場を連続でこなせますから、もっと安い価格設定でも採算はとれます。ですから、今先生がおっしゃったような形で高齢者住宅の運営会社や管理会社、管理組合と組むといったことも検討する余地は十分にあると思います。

亀岡ただし、その場合「個人の好みにあった食事を提供」という御社の特徴が出せなくなりますので、それをどう解決するかも考えなくてはなりません。

長瀬おっしゃる通りです。また「高齢者と共働き夫婦」という二つの現場なら、それぞれの食事時間が異なることが多いので、1人のスタッフでも対応できますが、高齢者の現場2つですと、食事時間が重なりますので、結局2人のスタッフで対応しなくてはならない、という問題もあります。

亀岡メニューをある程度固定化するなど、高齢者住宅向けのビジネスモデルを新たに構築する必要があるかもしれません。

長瀬高齢者住宅との連携という点で言えば、こうしたケースがあります。ある有料老人ホーム事業者から相談を受けました。「最近は入居検討者が見学に来ても、実際の入居に至るまでに時間がかかるようになった」というのです。

亀岡手持ちの株式や不動産を処分して入居一時金を工面しようと考えていたが、株の値下がりなどで思うように資金が都合できない、といったことで入居が先延ばしになるケースは増えているようですね。

長瀬その場合老人ホームの運営者からすれば半年も1年も入居見込み客としてフ櫻ローをし続けなければなりません。そこで、見込み客に対するサービスとして、当社の料理代行を提供しよう、と考えたのです。

亀岡単にそのサービスで喜んでもらうだけでなく、スタッフが定期的に見込み客の元を訪問しますから「資金面での問題は解決できたのか」「他の有料老人ホームへの入居は検討していないのか」などといった状況を確認することもできますね。こうした形での高齢者住宅や有料老人ホーム運営事業者との結び付きは効果的かもしれません。ところで、御社の事業は最終的には、いかにいいスタッフを確保できるかが鍵だと思いますが、この点はいかがですか。

長瀬現在、現場に出るスタッフは約120人います。清掃スタッフは、やはり重労働というイメージが強く敬遠する人が多いためか、人員確保が楽に行える、という状況ではありません。それに対して料理代行のスタッフは希望者も多く、人材確保にそれほど苦労はしません。しかし、味に対してこだわりの多い高齢者が満足する食事を作るということは、ある程度の腕前も必要となりますので、実際に現場に出せるだけの水準にまでなる人はある程度限られます。しかし、それだけに、利用者が気にいってくれた場合には「この人の作った食事でなければだめだ」というケースもあります。中には毎日利用している人もいるほどです。

亀岡他の楽しみが少なくなる分、食事に対する高齢者の愛着やこだわりは強くなります。この部分で満足を与える、ということは高齢者の生活全体に潤いを与えることになりますね。

長瀬これからも、この分野については力を入れていきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

※本記事は、高齢者住宅新聞(9/24発行)に掲載されたものを、株式会社高齢者住宅新聞社の許可を受けて転載しております。


PAGE TOP