マエストロスタッフブログ

家事屋とHedwigと愛に満たされない全ての人間と
2008年5月18日 15:50 | トラックバック(0)

Hedwig and the angry inchという映画がありまして。

東ドイツで生まれた少年が、駐独米軍兵に見初められて、性転換後に同性婚をして、アメリカに移住した後紆余曲折を経てロックシンガーになるというお話ですが、この中で使われているThe Origin of Loveという楽曲が、不思議な映像と相まって非常に心に残ります。

プラトンの『饗宴』の一節からなるこの曲の中では人間の起源、そして人が人を愛する理由が歌われています。

その昔人間に性別はなく、4本の足と4本の手を持った、男と女が背中合わせになった一つの生き物であったそうです。力をつけた人間を恐れた神が、戒めとして人間を二つに引き裂き、そのため人間は2本の手足を持つ男と女に別れました。もともと一つの生き物であった人間は、自分が半分にわかれてしまったため、常に不安であり、孤独であり、失われた片割れを求め続けるのです。そして、男性と女性が「運命の」自分の片割れを見つけた時、また再び一つになろうとする行為、それがLoveでありSexであると。好きな人が悲しんでいる時に、自分の心も痛むのは、二人が昔一人だったからであると。そんな風に歌われています。

面白くありませんか?

神話の話なので、おとぎ話ではありますが、何故か腹に落ちるお話でした。

歌はこの映画の主演でもあるJohn Cameron Micheal。
俳優のくせに味のある、いい声してます。


余談ですが、プラトンはもう一つ面白いことをいっております。

神はよく人間に意地悪をして、体を引き裂いたり、せっかく作った町を破壊したりしますが、それは人間を恐れているのではなく、人間に嫉妬しているからだと。なぜ完全である神が、欠点だらけの不完全な存在である人間に対して嫉妬をするかというと、神は完全であるが故に、もうアップサイドがない。つまり、欠点を克服するために努力したりすることもなく、成長という概念自体もないと。だから神は人間に意地悪をするのだと。

ギリシャの神はキリスト教の神のように偉そうでも排他的ではなく、どこか人間臭くって面白いですね。


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カテゴリ: 家事屋の徒然草


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